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旅の記憶(クラッチ 1 )

[396]  ヒロ  2009-10-10投稿
聡は二十歳も過ぎ、人との「付き合い」というものを覚え、先輩や上司に、帰りの「一杯」を誘われるまでになっていた。
そんな頃、勤めている工場に同年代の女性が入って来た。
彼女は「陽子」と言い、髪は長く、笑顔が、陽射しの様に眩しく思えた。
その明るさからか、工場では先輩方からは可愛がられ、楽しそうに仕事をしているのが聡には「羨ましい」のか、「嬉しい」のか…複雑でした。
そう、聡は恋をしたのだ。しかしと言うか、やはりと言うか、聡は話をする事も出来ないのである。
そんな聡と陽子が初めて話をしたのは意外な場所であった。
陽子、「あれ?!三浦君?」
聡、「えっ?木村さん?何で教習所に?!」 聡は心臓が耳と耳の間にあるのか?と思う位の高鳴りがした。
陽子、「うん、バイクの免許を取りね。三浦君は?」
聡、「オ、オレもバイクだよ。それと…」
陽子、「ん?それと何?」
聡、「聡でいいよ、皆そう呼んでるし…」
陽子、「うん、じゃあ私も陽子でいいよ」
もう聡は内心、レッドゾーン!見てるこっちが恥ずかしい。
そんな時、現実に戻す声が…
教官、「木村さん…」
陽子、「はい!じゃあまた後でね」
その後、聡も呼ばれ二人は実習に向かった。

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