アキ 17
「そのナイフ、どうするつもり?私を刺す?」
私は動揺しながらも、彼女に聞いた。
「…今日は、刺さない。でも次会った時は、どうなるか知らないよ。アキと別れてくれさえすれば、何もしない」
「脅してるの?」
「うん」
彼女はニコッと笑った。
「大体、結婚してるのに、ゆかからアキを奪おうとすること自体、おかしいよね?」
「奪うなんて…」
「もう、アキと関わらないで」
彼女は最後にそう言うと、私をキツく睨み、その場を去った。
「…はぁっ」
緊張の糸が切れたかのように、私はその場に座り込んだ。
身体が、震えている。
刺されるかと、思った。
「せんせ?」
アキが近づいてくる。
「どうしたの?急にいなくなるから。シゲさんも他の人も心配して…
……透?」
私は思いきりアキに抱きついていた。
身体の震えはおさまらない。
「…どした?なんか、あったの?」
「…なんでもない。少しだけ、このままでいて…」
この先、アキと付き合うなら、彼女に刺される覚悟がないとダメだ。
彼女、本気だった。
初めに、深入りしないって私から約束出したのに…。
「アキ」
「なに?」
私はアキにキスをしていた。
続く
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