がく、さい 第二場 〜川上さんの話〜
「なにそれ。いつの話してんの。」
私はまた、感情を押し殺した声で言う。
「いつって……昔から…。」
私は話を遮って立ち上がった。そして台所まで行って暖かくて甘い牛乳を流しに捨てた。
白い液体は渦を巻いて暗い穴へと吸い込まれる。
後藤が後ろで顔を伏せているのが分かる。
「………先生のこと?」
後藤は自信のない声で聞く。
私は黙ったまま、残った白い筋を見つめていた。
「学祭?そんなに嫌だった?」
「私が…」
私は声を絞りだすようにして言った。
「私が言いたかったの!英語劇って。」
後藤はきっと呆れた顔をしてるだろう。でもお構いなしに私は続ける。
「だって、先生と思い出作りたかったし、なのに、瀬戸ちゃんがさぁ……」
嫌な女。自分でも分かる。なのにむかつくんだから仕方ない。しかもどうでもいい後藤にしか愚痴れない。
そんな自分も恰好悪い。
「だって……さ、少しでも…気に入られたいじゃん…。」
あーあ。何してんだか。私。
「とにかくむかつくの!」
私は勢いよく振り返った。
すると後藤は呆れるでもなく、俯くでもなく、真っすぐした目で私を見てた。
私は耐え切れなくなり目を逸らす。
後藤は変わらず私を見ている。でもその目は優しかった。目が笑ってるようにみえた。
「いーよ。実緒、僕になら何言っても。」
「偉そうに。後藤のくせに。」
私は可愛くないことを言う。つくづく。可愛くない。
「多分、実緒主役でしょ。頑張ってる姿見せればいいんだよ、先生にさ。」
「それ、止めてよ。」
「え?」
「呼び捨てしないで。いつまでも子供じゃないんだから。」
今の私が言っても説得力ないけど。後藤は変わらない声で言った。
「川上さん。大丈夫だよ。」
川上さん……そう言われて、一気に距離を感じた。後藤は私が「ゆうくん」から「後藤」って呼び始めた時、どう思ったんだろう。
「ま、どーせ私ぐらいしか主役できる子なんていないだろうしね。姫って感じでしょ。私。」
私は精一杯の強がりで笑った。
私はまた、感情を押し殺した声で言う。
「いつって……昔から…。」
私は話を遮って立ち上がった。そして台所まで行って暖かくて甘い牛乳を流しに捨てた。
白い液体は渦を巻いて暗い穴へと吸い込まれる。
後藤が後ろで顔を伏せているのが分かる。
「………先生のこと?」
後藤は自信のない声で聞く。
私は黙ったまま、残った白い筋を見つめていた。
「学祭?そんなに嫌だった?」
「私が…」
私は声を絞りだすようにして言った。
「私が言いたかったの!英語劇って。」
後藤はきっと呆れた顔をしてるだろう。でもお構いなしに私は続ける。
「だって、先生と思い出作りたかったし、なのに、瀬戸ちゃんがさぁ……」
嫌な女。自分でも分かる。なのにむかつくんだから仕方ない。しかもどうでもいい後藤にしか愚痴れない。
そんな自分も恰好悪い。
「だって……さ、少しでも…気に入られたいじゃん…。」
あーあ。何してんだか。私。
「とにかくむかつくの!」
私は勢いよく振り返った。
すると後藤は呆れるでもなく、俯くでもなく、真っすぐした目で私を見てた。
私は耐え切れなくなり目を逸らす。
後藤は変わらず私を見ている。でもその目は優しかった。目が笑ってるようにみえた。
「いーよ。実緒、僕になら何言っても。」
「偉そうに。後藤のくせに。」
私は可愛くないことを言う。つくづく。可愛くない。
「多分、実緒主役でしょ。頑張ってる姿見せればいいんだよ、先生にさ。」
「それ、止めてよ。」
「え?」
「呼び捨てしないで。いつまでも子供じゃないんだから。」
今の私が言っても説得力ないけど。後藤は変わらない声で言った。
「川上さん。大丈夫だよ。」
川上さん……そう言われて、一気に距離を感じた。後藤は私が「ゆうくん」から「後藤」って呼び始めた時、どう思ったんだろう。
「ま、どーせ私ぐらいしか主役できる子なんていないだろうしね。姫って感じでしょ。私。」
私は精一杯の強がりで笑った。
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