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がく、さい 第三場〜川上さんの話〜

[198]  あこ  2009-10-11投稿
「じゃあ、もう帰るわ、少しだけすっきりしたし。」

私は素直じゃないのだ。

「うん。おやすみ。」


私は返事をせずに部屋を出た。


いつまで経っても後藤に頼ってしまう。頭では分かってる。

でも大切にできない。

だって、後藤は私のことが好きだから。

私だってそこまで意地悪でも鈍感でもない。

だからこそ、優しくなんてできない。傷つけて、傷つけて、私のことなんて消してしまえばいい。




学祭で、英語劇をやるって決まってから一週間。

演目はロミオとジュリエットをアレンジしたものになった。先生がさらさらっと書き直してくれたのだ。

流石、先生。


ジュリエット候補には私と遠藤ユミコがあがった。

ま、当然ながらジュリエットは私に決まった。



ロミオは……………………………………………








先生。

台詞量的に先生以外に出来る人がいないっていう理由。


棚からボタモチ。


私はツイてるのかもしれない。高校三年の秋。私に一世一代の大チャンスが訪れた。秋だけど、春。私にとっては春。

一年の時から好きだった。二年で念願の担任になった。

でも距離感はずっと埋まらなかった。

結局は先生と生徒。
師弟関係。

一線を引かれてる。

自分でも分かってる。

だからこそ、好きなのかもしれない。


でも、どこかでケリをつけなきゃ。どこにもいけないんだ。



「先生っ!」

私は早速行動に出る。


授業後、職員室のドアを覗き込む。


「どうした、川上。」


「台本の台詞でちょっと分からないところがあって。」


「それなら、放課後の練習の時、聞くよ。


「駄目なんです。気になって、授業に集中出来なくて。」


「じゃあ、5分だけな。」


先生は私にタイムリミットを設定した。


「この…ここのところ、どういう意味ですかぁ?」

私は精一杯の可愛さを絞りだす。


「はぁ……。前説明しただろ。これは、会えなくて苦しい、でも運命には逆らえない。」


「あ、そうですよねぇ。」

私は真剣な目を作る。

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