オメガ
「カシーン!!」
鋭いダイヤモンドのような細長いものが、孤を描きながら空を切った。
年末押し迫るクリスマスイブ、神谷は彼女を手に入れた。
狭い都心の一戸建ての庭で、神谷は美樹とフェンシングで勝利した。
「私は誰のものにもならない。」
そう美樹は藤一に、情事のあとに言った。
京王医科大と白鳥女子医科大の合同サークルで、神谷藤一は天海美樹に出会った。
大和撫子を絵に描いたような容姿。
しかし、人を射るような、それでいて触れる者を引き付けずにはおかない瞳が、それを裏切った。
学内でも、長身のクオーター美人の新入生は、こちらの大学までも鳴り響いていた。
でも、エスカレーターで上って来た女の子たちの間では、男の噂を聞かない、ミステリアスで変わった子だということを、藤一は知った。
藤一は、彼女に興味を持った。
飲み会で、藤一は美樹の右側をキープしながら話しかけた。
「天海さんは、なにかスポーツでもしているの?」
美樹は酒に酔った潤んだ目で彼を見た。
「ええ。なぜ?」
「いやさ、筋肉のつき方が、僕のやっているフェンシングに似ていたから…。」
しばらく何も答えない彼女に、藤一は気を悪くさせたかなと思った。
「ごめん。初対面でいきなり失礼だったよな。」
慌てていると、
「いいえ。ただ驚いただけなの。亡くなった母がフェンシングの選手だったから…。」
藤一が謝ろうとすると、美樹は彼の口を綺麗な細長い人差し指で、押さえた。
「あやまらないで。
そういうの、苦手なの。」
黒目がちな猫目の彼女が言った。
僕は胸の内が締め付けられるように苦しくなって、彼女の腕をとった。
鋭いダイヤモンドのような細長いものが、孤を描きながら空を切った。
年末押し迫るクリスマスイブ、神谷は彼女を手に入れた。
狭い都心の一戸建ての庭で、神谷は美樹とフェンシングで勝利した。
「私は誰のものにもならない。」
そう美樹は藤一に、情事のあとに言った。
京王医科大と白鳥女子医科大の合同サークルで、神谷藤一は天海美樹に出会った。
大和撫子を絵に描いたような容姿。
しかし、人を射るような、それでいて触れる者を引き付けずにはおかない瞳が、それを裏切った。
学内でも、長身のクオーター美人の新入生は、こちらの大学までも鳴り響いていた。
でも、エスカレーターで上って来た女の子たちの間では、男の噂を聞かない、ミステリアスで変わった子だということを、藤一は知った。
藤一は、彼女に興味を持った。
飲み会で、藤一は美樹の右側をキープしながら話しかけた。
「天海さんは、なにかスポーツでもしているの?」
美樹は酒に酔った潤んだ目で彼を見た。
「ええ。なぜ?」
「いやさ、筋肉のつき方が、僕のやっているフェンシングに似ていたから…。」
しばらく何も答えない彼女に、藤一は気を悪くさせたかなと思った。
「ごめん。初対面でいきなり失礼だったよな。」
慌てていると、
「いいえ。ただ驚いただけなの。亡くなった母がフェンシングの選手だったから…。」
藤一が謝ろうとすると、美樹は彼の口を綺麗な細長い人差し指で、押さえた。
「あやまらないで。
そういうの、苦手なの。」
黒目がちな猫目の彼女が言った。
僕は胸の内が締め付けられるように苦しくなって、彼女の腕をとった。
感想
感想はありません。