溺れる魚 2
郁恵が地元を去ってからまったく連絡が取れなくなった。
14年後…
正直、郁恵や新のことは忘れかけていた。
ある日、仕事帰りにスーパーで買い物をしていた。
「真理?」
少しトーンの低い、懐かしい、声。
そこにはあの頃と変わらない郁恵がいた。
14年もの歳月が経ったなんて嘘のようだった。
「郁恵!何?帰ってきたの?」
「うん。つい先月」
「元気だった?」
私たちは離れていた時間を埋めるように、その後喫茶店に入り、いろんな話をした。
♪♪♪
「あ、ごめん新だ。もしもし?新?お母さん今、駅前の喫茶店にいるの。久しぶりに友達にあって。うん。でね、ちょっと荷物多いから迎えに来てほしいんだけど…。うん。じゃあ待ってるから」
「新くん?来るの?」
「うん。来てくれるって。今、高2なの」
「うわ〜私2歳の時会ったのが最後だよ!」
「だよね!」
その時は、これから起こることなんて予想もしていなかった。
新と恋に落ちるなんて夢にも思っていなかった。
「新!こっちだよ」
郁恵が声を掛けた先には、赤ちゃんの頃の面影なんて微塵もない、学ランを着た、背の高い男の子が立っていた。
続く
感想
- 27897: えっ恋に…斬新…ワクワク…期待…シャイン [2011-01-16]