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いじわる先生 13 〜帰り道の涙〜

[420]  るー6  2009-10-21投稿
……覚悟は、していたから。
周りがどう言おうと、もうどうでもいい。

「いないな…。」
幸輔は一体どこへ…?
香山と涼子は未だに諦めず探していた。
「さっき、あっちの方で、音がしたけど。」
「まさか…。」
涼子は香山を促した。
「行ってみるしかないでしょ。」

銃声が響き渡った桜川大橋周辺。
張り詰めた空気がみるみる解かれていく。
「幸輔…?」
優太は幸輔を呼ぶ。
幸輔は、動かなかった。
でも、耐えているのか、倒れてはいない。
「優太…よく見て。」
幸輔の体でよく見えなかったが、優太は幸輔の前を見た。
「えっ…。」
そこには、血を流した神山先生がいた。
もう、死んでいた。
「ま…まさか…。」
「神山先生が、撃つ直前にかばってくれたんだ。」
「マジかよ…。」
神山先生が幸輔を救える唯一の手段だったんだと思う。
いじわる先生にもう、踊らされたくなかったんだろう。
「素直に…喜べないよ。幸輔は助かったけど、先生が…」
優太はいじわる先生を睨みつけた。
「あいつが…あいつが悪いんだよ!」
いじわる先生は優太の一言に動じることなく、冷笑を浮かべながら、手袋を脱ぎ去っていった。
幸輔は疑問に思った。
「何で…手袋をはめていったんだろう。」
「きっと、これも計画なんだよ。」
優太は独り言の様に言った。
「あと大丈夫か幸輔。ケガは?」
幸輔は首を横に振った。すると優太は立ち上がった。「とにかく逃げよう。あいつが逃げたんなら、オレたちが警察に捕まる。」
幸輔はうなずき、2人は帰ることにした。

帰り道。
「その傷とか見て、親は何か言った?」
幸輔は心配そうに言った。「オレは前、あのバカ教師に暴力振るわれた時、親は心配したよ。でも、単なるケガだって…言ってあるんだ。」
幸輔はうなずいて聞いていた。
「そう…なかなか言えないよね。」
「もし言ったら、今度オレだけ暴力を振るわれるのでは済まされないと思う。オレの親は、絶対先生に言うから…」
「家族全体が狙われるって事も?」
「それが…それが嫌だからオレは…オレは…。」
優太の目から涙が溢れてくる。
幸輔は唇を噛んで、優太の背中をさする。
「絶対に…1人でいじわる先生からの攻撃に耐えなければいけないんだ。」
正直、このまま耐え続けるのも優太が辛くなるだけ。幸輔は、優太の友達として、守らなければいけないんだ。
幸輔の頭に、ある言葉がよぎった。

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