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ほんの小さな私事(123)

[342]  稲村コウ  2009-10-22投稿
「一体、何があったんですか?窓ガラスにヒビが入っているし、中は中でこの有り様で…。」
そう言って部屋の中に入ってきたのは、林さんだった。
もしかしたら、この部屋が騒がしくなっていたのに気づいて、こちらに様子を見に来たのだろう。
「あー…いやー…。これは…何と言うか…。ははっ。まあともかく、これを見てください。」
辺りを怪訝そうに見渡す林さんに、なつきさんが苦笑いをしながら近づき、ポケットから何やら棒状のものを取り出した。
そしてそれを、林さんの目の前で、ゆっくりユラユラと振り始めた。
すると次第に、林さんの目が虚ろになってきて、そんな林さんの耳元で、なつきさんは、ボソボソと小さな声で呟いた。
「昨日、誰かにこの部屋が荒らされて、現在ここは封鎖中です。後日の現場検証の為、この場所は、現状のままにしておいてあって、誰も近寄らない様にしてあります。一応見回りをして、特に問題なかったので、下にもどりましょう。」
「…はい、問題無かったので、戻る事にします…。」
なつきさんの言葉に従うかの様に、林さんは、虚ろな目をしたまま、踵を返して、部屋を出ていってしまった。
それを追いかけながら、なつきさんが、私たちの方向に振り替えると、小声で早口に言った。
「君たちは先に保健室へ戻ってて。ここはこのままにしておいていいから。じゃ、また後で。」
そう言った後、なつきさんは、林さんのあとに続いて、下の階へと降りていってしまった。
残された私たちは、今の出来事を見て、キョトンとしていた。
「あの保健の先生…魔術士かなんかなの?」
そう呟いた高野さんに対し、櫻井君が答えた。
「まあ…そんな感じかもしれないね…。今のは催眠術だよ。…それはそうと、また他に人が来る前に保健室へ行っておこう。」
「あ…う、うん。」
そう言われ、高野さんが複雑な表情のまま返事をする。
私も、山下さんたちの方向を気にしつつも、無言で櫻井君に頷いた。

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