スーパーイエロー
俺は21歳のフリーター。名前は鈴木 太郎。
名前の通り、なんの特徴もない、量産型のような人間だ。
バイトがある日はバイトをし、休みの日は休む。
誰が見ても退屈な毎日を過ごしていた。
あのチラシを発見するまでは…
その日はバイトは休み。
いつものように昼の1時に目覚め、近所の牛丼屋で昼飯を済ませると、レンタルビデオショップや古本屋やコンビニを決まったルートで徘徊。
頭で考えなくても、まるでレールが敷いてあるかのようにきっちり同じルートで家路につく。
我ながら実につまらない日常だ。
しかしその日だけは違った。いつもの古本屋が閉まっていた。70近い老紳士が一人で経営してるんだ。よく考えれば、俺が越して来て3年、今まで一度も休み無く営業している方が不思議なくらいだった。
俺は古本屋の前を素通りし、そのまま帰ろうと思ったがいつもは古本屋で過ごす30分に何か違和感を感じ、いつもは通らない路地を曲がり、わざと遠回りをした。
途中、赤い首輪をした黒猫に出会った。
黒猫は塀の上から俺を見下していた。
猫っていうのは、なんだか飼い主以外の人間をみんな見下してるみたいで、嫌いだ。
だが今は猫より、黒猫が座っている塀に、赤と青と黄色と緑とピンク色の、カラフルなチラシの方が気になっていた。
“ヒーロー募集!二十歳以上の健康な男女ならどなたでもヒーローになれます!問い合わせ:090…”
俺はこの胡散臭い幼稚な内容のチラシに、強烈に惹かれた。
俺は操られるように携帯電話を取り出した。
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