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昔の彼女(10)

[256]  ひろ  2006-08-06投稿
その日は朝から縁起が悪かったというか…

通学途中でクロネコが前を横切ったし?

怖い夢を見て目覚めも最悪だったから、これも夢なのか…?

(由美に似ている…)

今、俺は全く理解できない状況に立たされていた。

朝、登校してHRの時間。季節外れの転入生に教室がざわめいているのだが。

なんとも由美っぽい。髪は伸びたけれどパッチリした目、小学生かってくらいのちっこい身長…


「ゆ…」
俺が名前を口に出す瞬間。

《由美ぢゃん!!》

何人かのクラスメイトが声を揃える。


懐かしい感じに由美も顔を緩める。

そぅ、ここは地元だから中学の時の奴らが沢山いる。


(どぅしよう…)
実際はどうしようもないのだが…。

前の席の人の頭に隠れる感じに小さくなってみる。

しかし、努力も虚しく、再会が終わった同級生の面々が俺を見始める。

その視線を不思議そうに、由美がこっちを見る。


「Σ…としかず」

由美は驚いた表情をしている。

今度、その言葉に驚いたのはナルミだ。

「え…?」

ナルミは俺と由美を交互に見る。


由美はその視線に気付き微妙な顔付きになっていく…。



なんだよ、一体。

忘れられなかった。
ずっと頭にあって、そんな奴が急に現れたら俺…。

嘘だろ、こんな事なら会いたくなかった。

普通にしよ、俺にはナルミが居るんだから。
ナルミが…

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