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サンタの手袋 ?

[199]  あこ  2009-10-25投稿
思わず周りを確かめる。もしかしたら、僕ではない誰かに話しかけたのかもしれない。

誰もいない。

女の目も、疑いようなく僕に向いている。


間違いない。


でも何だってこんな時間に制服を着た奴がいる?サンタって何だ?
何で僕に話し掛ける?



疑問ばかり沸いて来る頭を横に振り、右足を勢いよく蹴りあげた。

走るしかない。


覚悟を決めて、女の方に向かって走り出した。

気の毒だが、顔を見られた以上、放って置けない。

一発殴って、気絶でもしてくれればいい。

都合よく今日の出来事を忘れてしまってくれれば、もっといい。


土手を駆け上がる。

足元で草が、揺れる。

風が僕の横をすりぬける。


素早く女の前に出て、拳銃を抜く。

撃つ気はない。拳銃の背中を高く振り上げる。

女は身動き一つしない。恐怖で声も出ないのだろう。


そう思って、振り下ろそうとすると手が動かなかった。

女は、僕の手を両手で掴んでいた。


いつの間に……??



華奢な手首は、僕の右手をしっかり掴み、爪が食い込んでいた。


「ねぇ、サンタさん。」


顔がすぐ目の前にあった。女は、制服を着てるわりには随分大人びた顔をしてた。

目の横に小さい皺を作り、にっこり笑っている。


女の力は、決して強くない。強くはないのに、振りほどけない。振りほどいたら折れてしまいそうな程、細く華奢な腕だったからだろうか。


幽霊みたいだ。


僕は信心深くもないくせに、そんなことを思った。

「殺すの?」


女は笑ったまま言った。

何を考えてるんだ、この女。背中に鳥肌が立つのを感じた。

その女は、深く、暗い、海の底のような目をしてたからだ。

僕の深く被ったフードの隙間から、女は僕を見てた。

下から、覗き込むように。


顔を見られた。しかも至近距離で。

ごまかしが効かない。


「来い!」

僕は振り上げた拳銃を持ち直して、女の顔の前に突き出した。

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