子供のセカイ。81
ホシゾラは、美香の表情が和らいだのを見て、驚愕した。てっきり恐怖に顔が青ざめ、震え出すかと思っていたのだ。しかし、怯えを露にしたのは最初の一時だけで、すぐに美香は自分の心を取り戻した。
(この子は、死を恐れないのかしら。)
美香の年なら、ちょうど生と死について深く考え始める時期で、その恐怖に対してはもっとも敏感なはずだった。だが美香は、迷いながらも、確かに恐怖を乗り越えてみせた。まるで彼女の中に誰かがいて、その人物に励まされたかのように。
美香なら、もしかしたら、あの試練に打ち勝てるかもしれない。
ホシゾラは、心を決めた。
美香はホシゾラの方を向いて、改めて自分の決意を述べようと口を開きかけたが、ホシゾラが手を上げたことで制止された。
ホシゾラは哀しそうでありながら、どこか嬉しそうな表情をしていた。
「あなたの覚悟はよくわかったわ。ごめんなさいね、長々と気持ちを確かめるようなことをしてしまって。」
美香は首を横に振った。いよいよホシゾラが話をしてくれる気になったこともあり、生死を懸けた戦いへの緊張から、ひどく動悸がした。
「それで、実際にはどんなことが起きるんですか?私は何をすれば……?」
「そうね。歩きながら話しましょうか。閉じ込められている光の子供は、もうかなり前からあそこにいるの。」
助けるなら、早い方がいいわ――。
その言葉は、残酷な響きを持って美香の心の中に広がっていった。
美香はまずホシゾラと共に、ジーナの部屋へ行った。ジーナはそわそわと落ち着かなげに部屋の中を歩き回り、たまに腰の剣に触ったりしていたが、美香たちの登場にハッと体の動きを止めた。
「美香、どうだった?」
「……方法はあるって。だから、今からちょっと行ってくるね。」
できるだけ軽く聞こえるように言ってみたつもりだったが、ジーナには見抜かれていた。
「私も行こう。」
「……ダメよ。ジーナは王子の傍にいてあげて。」
そう言うと、ジーナはぐっと言葉に詰まった。王子の体の状態を知らない美香は、なぜジーナがそこまでつらそうな顔をするのか、わからなかった。眠っている彼の横にいて欲しいと言っただけなのに、と首をかしげる。その内、王子は目が覚めるだろうし、その時美香もジーナも居なければ、彼はひどく心配するはずだった。
(この子は、死を恐れないのかしら。)
美香の年なら、ちょうど生と死について深く考え始める時期で、その恐怖に対してはもっとも敏感なはずだった。だが美香は、迷いながらも、確かに恐怖を乗り越えてみせた。まるで彼女の中に誰かがいて、その人物に励まされたかのように。
美香なら、もしかしたら、あの試練に打ち勝てるかもしれない。
ホシゾラは、心を決めた。
美香はホシゾラの方を向いて、改めて自分の決意を述べようと口を開きかけたが、ホシゾラが手を上げたことで制止された。
ホシゾラは哀しそうでありながら、どこか嬉しそうな表情をしていた。
「あなたの覚悟はよくわかったわ。ごめんなさいね、長々と気持ちを確かめるようなことをしてしまって。」
美香は首を横に振った。いよいよホシゾラが話をしてくれる気になったこともあり、生死を懸けた戦いへの緊張から、ひどく動悸がした。
「それで、実際にはどんなことが起きるんですか?私は何をすれば……?」
「そうね。歩きながら話しましょうか。閉じ込められている光の子供は、もうかなり前からあそこにいるの。」
助けるなら、早い方がいいわ――。
その言葉は、残酷な響きを持って美香の心の中に広がっていった。
美香はまずホシゾラと共に、ジーナの部屋へ行った。ジーナはそわそわと落ち着かなげに部屋の中を歩き回り、たまに腰の剣に触ったりしていたが、美香たちの登場にハッと体の動きを止めた。
「美香、どうだった?」
「……方法はあるって。だから、今からちょっと行ってくるね。」
できるだけ軽く聞こえるように言ってみたつもりだったが、ジーナには見抜かれていた。
「私も行こう。」
「……ダメよ。ジーナは王子の傍にいてあげて。」
そう言うと、ジーナはぐっと言葉に詰まった。王子の体の状態を知らない美香は、なぜジーナがそこまでつらそうな顔をするのか、わからなかった。眠っている彼の横にいて欲しいと言っただけなのに、と首をかしげる。その内、王子は目が覚めるだろうし、その時美香もジーナも居なければ、彼はひどく心配するはずだった。
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