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溺れる魚 10

[271]  ゆう  2009-10-26投稿

新の隣に座っていたのはセーラー服を着た可愛らしい女の子。

こうして見ていると爽やかな高校生カップルだ。



新は正しい選択をした。

これでよかった。

よかった。





「真理、最近恋愛してる?」

郁恵と喫茶店でお茶している時に、郁恵が聞いてきた。

「恋愛ねぇ…。私、付き合っても長続きしないんだよね。しばらくはそういうのはいいかな」

苦笑いしながら私は答える。

「そうなの?真理、モテそうなのに。気になる人とかもいないの?」

「いない」

私は即答した。


「実は新がね、この間女の子家に連れてきてね。初めてのことでびっくりしたのよ」

「へぇ。そうなの」

そうなんだ。

「新も子供だ子供だと思っていたけど、女の子と恋愛するような年になったのよね」

郁恵は笑いながらも、どこか寂しそうに話した。
「でも、新くんだってもう17だよ。恋愛のひとつやふたつ当然でしょ」

「それもそうよね」

郁恵は笑って頷いた。



そう。新はまだ17。

新はまだ高校生。

私は、その言葉を自分に何度も言い聞かせていた。



続く

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