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溺れる魚 12

[281]  ゆう  2009-10-27投稿

夢の中で私の名前を呼んだの?

私が夢に出てきてたの?

そんなこと、関係ない。気にしない。

私と新はただ友達の子供、母親の友達、それだけ。

そう。それだけだ。





それから3日後。
帰り道の公園に新がいた。
今日は新ひとりだ。

声をかけないのも変だし…

「新くん。…風邪、よくなったんだね」

「…お陰様で。もうすっかりよくなりました」




会話が、続かない。



それは、きっと私が新を意識しているから…。


ダメだ。もう本当に、新に会うのはやめよう。

帰り道も、違う道から帰ろう。

今までだって、そうできたはずだったのに、しなかった。


私は馬鹿だ。


「…じゃあ」

「…はい」

私はその場を立ち去ろうとした。

その時。


新が後ろから私を抱きしめた。



「やっぱり…俺…好きです…」

新は震える両手で私を強く抱きしめている。

「岸さんが言うように、俺が弱ってるときに優しくされたからかもしれない…。でも理由なんて、どうだっていい…今、俺は、岸さんが好きなんです…」


やっぱり、会わなければよかった。


「振るなら、振るで…ちゃんと、真剣に答え下さい…」


私は本当に大馬鹿野郎だ。



気づくと、私も思いきり新を抱きしめていた。



続く

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