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神のパシリ 16

[397]  ディナー  2009-10-28投稿
「あんたは背格好、それに何より、その瞳が似てるんだ。それだけで聞く義務があるさ」

メッツェは飄々と笑う。

「フェルゼルはな、私の相棒だった男だ。人の命を奪う事に長けていてな、ロロのギルドで最も凶悪で陰湿なアサシンギルドに属していた。
神の祝福か、悪魔と契約でもしたか、奴の目は赤く、見た者を魅了した。その隙に喉元をかっ切るのさ。
だが、死んだ。結構前の話だ。ギルドリーダーが死んで、フェルゼルが後釜に収まった矢先だった。
死体は誰も見てない。だからメンバーは皆、頭の片隅で、実は生きてるんじゃないかって思ってる」

話を聞きながら、ゼルの身体は妙な違和感を感じていた。

魂と肉体の狭間に、それらとは別の意識、思念のようなものを感じる。

か細いそれは、やがておさまった。

「さて、じゃああんたの話も聞いてやろうか」

メッツェは胸ポケットから煙草をつつきだし、火をつけ、ゼルよりも豪快に吹き出す。

「こんなクソみたいな街に観光で来た訳じゃないだろう。話してみな。私もレミーシュも、あんたがフェルゼルに似過ぎていて、とても他人とは思えん。条件によっては手助けしてやらんでもない」

ベッドの上で、レミーシュがこくこく頷いている。

「…探している」

「…人か?」

「分からん」

「…?」

「最近、ここで人がよく死んでいるだろう?」

「ここでたくさん人が死ぬのは日常茶飯事だ」

「…その中で、変わったものはなかったか?」

「というと?」

「例えば、明らかに違う死に方。こんな掃きだめの街で、不自然に死んだ奴、とかな。

本来人の死は命の終わりでしかない。人そのものの都合で、死は凄惨なものに塗り替えられてきた。

事故。

病。

殺人。

事故は突然なだけで、人間が分不相応な『物』…例えば、道具や建物だ…を作らなければ起こり得ない。

病は、人が他の生物や環境…大地や空気だな…を淘汰し、世界の拮抗を崩すから起こるものだ。

殺人は…言う必要もないだろう。

推測でしかないが、それに当て嵌まらない死に方が、ここでは…いや、人の世では不自然なはずだろう」

「まるで神の御使いの台詞だな」

メッツェは、ゼルの口上をそう皮肉った。

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