溺れる魚 14
気になっていたことがあった…。
前に公園で新と一緒にいた彼女。
彼女とは、どうなったんだろう…。
そんな事を聞いたら、大人げないかな…
でも…気になる。
「真理さん、どの映画にする?俺ホラー系がいいな」
「新。聞きたいことがあるんだけど…」
「何?」
「あの…ちょっと座らない?」
新は怪訝な顔をして私を見る。
「…嫌な話?」
「ううん。聞きたいことがあるだけ」
「…うん。じゃ座ろ」
映画館のベンチに腰を下ろす。
今日は土曜日。人が込み合っていて、周りはざわついている。
「…前に公園で新が女の子と二人でいるところを見たの。彼女…だよね?」
郁恵が家にも連れてきたと言っていた。
「彼女と、どう、したのかなって…」
「……」
新は黙っている。
新よりはるかに年上のくせに何を細かいことを聞いて…なんだか恥ずかしくなってきた。
「でも、いいの。別に新に他に彼女がいても…私は…」
焦るように言い足した。
「他に彼女なんて…俺は真理さんだけだよ」
私の目をまっすぐ見て、新は言ってくれた。
それだけで、こんなに嬉しくなってる。
新のこと、いつからこんなに好きになってたんだろう。
「彼女とは…」
新が言葉を続けた。
続く
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