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溺れる魚 15

[233]  ゆう  2009-10-29投稿

「彼女とは…1週間くらいしか付き合ってなくて…」

新は俯きながら言葉を続ける。

「彼女からずっと付き合ってほしいって言われてたんだ…でも断り続けてて…。でも、あの日、真理さんに振られた日に…また彼女から連絡あって…」

私は黙って新の話を聞いている。

「…彼女と付き合ったら、真理さんのこと考えなくなるのかなって思って…」

新は私の方を見ようとせず、俯いたまま。

…新が、すごく愛おしく感じる。

「でも結局ダメだった。彼女といても真理さんのことばかり考えてた。…彼女に対して、悪いことしたって思ってるよ…。傷つけちゃった…」

悲しそうな顔で俯く新を見ていたら、愛おしくてたまらなくなった。

「新…」



私はそっと新にキスをした。

新とキスをするのは、私が酔っぱらっていた時以来だった。


映画館の人混みの中、周りはうるさく、ざわついている。


唇を離すと、新は顔を赤くして、恥ずかしそうに私を見た。

「こ…こんなところで…」

「新にキスしたくなったから」

私は新を見つめ、言葉を続けた。



「好きよ。新」



続く

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