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がくさい 第三場 〜遠藤ユミコの話〜

[166]  あこ  2009-10-31投稿
私は強い者が弱い者を馬鹿にするのが耐えられない。所詮、人間なんて大差ないのに、必死に自分より劣った人を見つけて、自分の劣ったところを隠して。安心する。そんな構図は汚い。

でも、馬鹿にされてる人間も嫌い。相手に隙を与えてしまってるんだ。

だから私はこういう時、苛々してしまう。クラスの強がってる奴らにも、弱者を受け入れてしまう奴にも。

瀬戸ちゃんは私のそういう性格を知ってるから、素早く後藤くんのフォローに回った。もしくは、彼女の優しさからかもしれないけど。


すると、クラスの皆も我先にと散らばった台本を拾い始めた。


後藤くんはまた口癖の「ごめん」を呟いた。


「こういう時はありがとう、だよ。」

私はまたいらっとして言ってしまった。お節介かもしれないけど。

すると彼はこめかみ辺りをかいて、少し照れながら「ありがとう」と言った。

思ったより素直で、かわいらしい照れ笑いだったから、私もつられて笑ってしまった。

パンパン


手を叩く音がして、ドアを見ると先生が立っていた。



「準備は終わり?」

先生は余裕たっぷりの顔で言った。

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