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男のプライド 後編

[537]  フェリス  2009-10-31投稿
三上は直球と変化球で松山と勝負した。そしてついにカウントはフルカウント。ツーストライク、スリーボウル。次の一球でおそらく決まるだろう。

村上は最後の決め球をフォークで仕留めようとサインを出した。
しかし、三上はストレートで決めたかった。彼は最後の一球を全力で投げ抜き勝負したかった。
三上はいわゆる剛速球の投手として日本中に知られている。
おそらく全力で投げれば150キロを越えるスピードが出る。
三上はクビを横に振った。村上は仕方なくストレートを要求した。彼は三上の良き女房役で良き理解者でもあった。

そして、三上は全身全霊の力を振り絞ってストレートを投げた。
カキーンとスゴイ音が球場内に響き渡る。振り返ればレフトスタンドがお祭り騒ぎのように盛り上がっていた。
そして一塁側からはため息が聞こえた。
打者の松山は一塁を回り、二塁を駆け抜け、三塁をゆっくりと回る。ホームランだ。それもサヨナラスリーランで3対1が3対4に。スピードガンは155キロを表示していた。
男と男の対決は、高校時代に涙を呑んだ松山に軍配が上がった。


ホームベースではブラザースの選手が大喜びで松山のホームインを迎え入れる。三上は負けたんだとマウンド上で崩れた。松山はホームを踏んだ後にマウンド上の三上の所に駆け寄った。
「三上、最後に勝負してくれて有り難う。お前は日本一のピッチャーだ。俺達二人は日本一だよ。最後のあの球最高に素晴らしいよ。」

「松山、俺はお前に負けたよ。お前こそ日本一のバッターだよ。甲子園での決勝戦、まともに勝負できなくてごめんな。あの時、お前と勝負してたらうちの高校負けてたかもな。お前はホントにスゴイよ。」

と二人はお互いを褒めたたえ握手を交わした。男と男のプライドを掛けたぶつかり合い、それは見る者を感動と喜びの渦に巻き込むだろう。

ドルフィンズ三上とブラザース松山の歴史的一戦は今後、多くの後生に語り継がれるだろう。

完結。

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