溺れる魚 18
デートのキャンセルのメールが来てから、もう5日が経っていた。
新からの連絡は、ない。
メール、してみようかな… でも忙しかったら…
そんなことばかり暢気に考えていた。
…新が、どんな状況に置かれているかも知らずに…。
その日、事件は起きた。
「ちょっと…何コレ…」
同僚の小林がコピー機の横で何か紙を見て立ち尽くしている。
段々とそこに集まる職員。
視線は私に向けられている。
「なんですか?」
私もその場に向かう。
「…タチの悪い、イタズラですよ」
小林が眉間にしわを寄せながら、紙を渡してきた。
『岸真理は高校生と
付き合っている犯罪者 だ!』
紙に大きく書かれた文字…
一瞬、頭をハンマーか何かで殴られたような衝撃を受けた。
分かっていたこと…。
でも…
でも…私は新を好きなだけ…。
ただ それだけ…。
何枚も、何枚もFAXで送られてくる。
止まらない。
「まったくーっ!岸さん誰かに恨まれること何かしたんじゃないですかー?」
「そうですよ!こんな事書かれちゃうなんて」
集まっていた職員が口々に言った。
私はFAX用紙を、見つめていた。
続く
感想
- 27909: コメント記入していただいてありがとうございます。ゆう [2011-01-16]
- 28059: 早くも非表示に笑うしかないねシャイン [2011-01-16]