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道しるべ

[452]  トンテン  2009-11-01投稿
「ふぅ…。」
ため息をつきながら、車窓に目をやった。
見えるのは山間のみ。
木々が自らよけて行く様にも見えた。
辺りも暗くなり始めている。
(そうだ…。時間…。)
時間を聞こうと 老人の方を見た。
(え…?)
老人の姿が見えない。
(なんで…??)
まだ、次の駅に到着していない。
隠れる場所もない。
いや、それよりも、老人がいた気配すら、もうすでに そこにはなかった。(なん…だったの…?)
呆気に取られている内に、段々 焦りが恐怖心に変わって行くのがわかった。

それからどれ位 経ったのだろう。
電車が静かに停車した。
「プシュ−…」
ドアが開く…。
フラフラと出口に向かい、ホームに降りた。
「何…ここ…?」
そこは とても駅とは呼べそうにない所だった。
雑草が生い茂った線路の脇に、高さ20センチ程の打ちっぱなしコンクリートのホームらしき物があるだけ。
策も、街頭も、駅の看板も、改札もない。
歩道や民家すらも見当たらなかった。
「どうしよう…」
辺りは どんどん暗くなっている。
(とにかく、線路伝いに歩いて行けば何とかなるかもしれない!!)
そう思い、歩きだした。
{続}

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