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角砂糖が溶けていくように ????

[174]  紗弥佳  2009-11-03投稿
日差しが夏の黄金色に秋の柔らかく優しい琥珀色を帯び始めていた。

水曜日の放課後の屋上。
禁帯出の広辞苑を図書室から持ち出して椅子にしてしまっているあなたは、黒い背表紙の文庫本に首を少しだけ傾けて読み耽っていた。

大きく涼しげな瞳に映る活字の向こう側を読みとるみたいに黒く澄んでいたし、風に靡く髪は日差しを受けて気持ちよさそうにさらさらと揺れていた。

この屋上は学校という場所から切り離されたみたいに周りからのノイズは無関係で、その中にいるあなたもそこからもっと遠い場所にいるみたいだった。

私はそんなあなたの姿をただ呆然と見ているしかなかった。

本に読み耽っているあなたは、綺麗だけれども、とてつもなく孤独に見えたがら。

あなたが作っている、あなたの世界、あなたの壁、あなたの殻…。

鳥籠の中でじっとしているけれども、本当は籠の扉が開くのを待っている。
待っているけれども、自分からは出て行こうとはしない。
こうして籠の中にいるのは当たり前みたいな顔をしてポーカーフェイスを崩さない。

言葉が掛けられず立ち尽くしている私の気配に気が付き、あなたがこちらを向いて視線が重なった。

感想

  • 28185: おー角砂糖!いつもの読み応え(嬉)シャイン [2011-01-16]
  • 28370: 有り難う御座います。浮上しました。紗弥佳 [2011-01-16]

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