｢あの伯爵の家の地下･･･｣
ソウラは顔を顰めた。
伯爵というのは、この『サラナ』の町でも特に権力を持つ有名な政治家で、その権力を使い作らせた広大な屋敷と、最新鋭の設備と軍隊並みの戦闘力を持つことでも有名だった。
｢この依頼はとても困難だから、あなたたちが無理してやらなくてもいいのよ？」
｢依頼の報酬は？それによってはやらないこともない」
｢報酬は5000万･･･」
｢5000･･･万？」
｢あともう一つ、この情報をどこから得たのか知らないけれど･･･。『記憶の式』を教えるそうよ･･･」
｢その･･･話はほんとうなのか？｣
今まで話に無関心だったコウが口を開いた。
｢その少女が･･･、『記憶の式』を知っているのか？」
ソウラは表情は変わらないが、内心とても動揺しているようだった。
｢俺の『記憶』を唯一探す方法･･･」
｢この情報は外部に漏れるはずがないの･･･。私とソウラとコウしか知らないはずなのに･･･。もしかして、彼女はあなたの『過去』を知っているのかも･･･」
｢この話受けるよ」
コウは立ち上がり、サラから手紙を貰った。
｢この依頼を受けるのね･･･」
サラは新たな封筒をソウラに渡した。
｢これは･･･？」
｢実はもう一つ依頼主の顔と名前･･･。それから私のルートで調べた情報」
コウはソウラが貰った封筒の中身の一つを貰った。
｢ルウ・サラマン･･･？｣
｢もしかして･･･。あの大地主だったサラマン伯爵の娘？」
ソウラは貰った中の一枚を見て仰天した。そこには、昔事故で死んだとされていた大地主のガリア・サラマンの愛娘、ルウ・サラマンが写っていた。
｢よし、一旦家に帰るぞ」
｢じゃあ正式に受けるのね？」
｢あぁ、『元依頼主』の娘とわかれば受けるぞ。どうやらあの伯爵が、あの時の『事故』の真実を知っているようだからな」

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