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ナイフ?

[333]  陣内  2006-08-08投稿
『だったら、奈々さんと一生話すな』十番が言った。

『それだと奈々さんを不愉快にすると思うけど』

『だったら、会員になれ』

きりがないな、と思った。

『わかっただろ。お前は会員になるしか道はない』太郎は言った。

『……わかった』

もうダメだ。

『よし。圭護の会員番号は百五十七だ』

太郎はいつもバッチを持ち歩いているようで、すぐにポケットからバッチを取り出した。

『今からつけるの?』

『当たり前だ!』十一番が言った。

よかったね十一番。やっと話すことができて。

ある意味僕に仲間ができた。望んでないけど…。


あまりのショックで数日間は夜、歩くことができなかった。


『圭護、お前もっと体を鍛えろ』

ある日、太郎が急に言ってきた。

『な、何で?』

『お前があまりにも貧弱すぎるからだ』

ほっといてくれ、と思った。

『今日から毎日走れ。まずそれからだ』

歩くのはいいが、走るのは嫌だな、と思った。


土手を通るのはやめよう、と思いながら僕は夜道を走っていた。走っているといってもほぼウォーキングくらいのペースだ。今はこれが限界だ。

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