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ほんの小さな私事(132)

[496]  稲村コウ  2009-11-07投稿
保健室前にやってきた私たち。扉をノックすると、中から「どうぞ〜」という間延びした声が聞こえてきた。
「失礼します」と言いながら中に入ると、そこには、なつきさんと、机の上で丸くなっている黒猫の姿があった。
「よくきてくれたね。GH会に参加してくれるって事で捉えていいんだね?」
そう言われて、私は「はい」と言って首を縦に振った。
どういった活動をするのかも解らない手前、少し不安はあったが、この会に参加する事で、私が知りたいと思っている事が解明されていくのであらば、参加しない理由はない。
「さて。じゃあ先ず、これを渡しておこう。」
なつきさんはそう言って、一枚のカードとバッヂを一つ、私たちに差し出した。
カードは単なる白地の、一枚のプラスチックの板の様に見えたが、それを手にしてみると、表面にうっすら、GHの文字が書かれていて、更に右下のあたりに、三桁の数字が刻印されているのが判った。
数字は147となっているのを見ると、思った以上の会員が、このGH会に所属しているという事がわかる。
バッヂに関しては、生徒会委員が着けているバッヂに酷似しているもので、こちらも表面が白地になっている。
桜の形になっており、その中心には小さくGHの文字が浮き彫りされている。
「それらは一応、会員証みたいなものだよ。カードは生徒手帳の間にでも挟んでおいて、バッヂは胸の辺りにでも着けておけばいい。因みにGH会の話は、できるだけ外ではしない様に。バッヂについては、部外者には話さないように。聞かれても上手く誤魔化してくれ。まあ、目立たない場所に着けておくのも手だが、それでは他の会員が認識できなくなってしまうからね。」
なつきさんは、そう言うと、机の中から一冊のファイルを取り出した。

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