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ねぇ…大好きなのに。

[434]  春樹  2009-11-13投稿
必ず来る別れの時間。

春樹には、奥さんも子供もいる。

だから私は自分の気持ちを押し殺す。

「じゃぁ、亜弥はそろそろ家帰るよ」

私の強がる心と嘘の気持ち。

「うん」

平気なふりをする春樹。

【ずっとこのまま春樹の傍に居たい。また逢えなくなるなんて嫌だ。こんなに大好きなのに】

私の本当の気持ちは、私をその場から動けなくした。

「帰るんじゃないの?」

春樹が言った。

「帰るよ」

言葉より強い心。

そして、二人は少しの間沈黙していた。

「お前携帯持ってんの?」

春樹が聞いてきた。

「普通持ってるでしょ」

私は笑顔で答えた。

だってその質問は、これでお別れじゃないって事だから。

そして私と春樹は携帯番号を交換した。

「ご飯食べるんでしょ?また電話するよ」

そう言って春樹は帰ろうとした。

「うん」

安心した私は、素直に家に帰った。

家に帰っても、私の胸はドキドキして、ご飯なんて食べれなかった。

私の携帯に春樹から、着信が入った。

私は急いで通話ボタンを押す。

「掛けてくるの早っ」

私は嬉しかった。

「ご飯食べた?」

春樹の声。

「うん」

「じゃぁ、遊ぼうよ」

【春樹はいったい、どういう気持ちで私を誘ってるんだろう?】

また来る別れに、戸惑う私の心。

でも、もう決めていた。

春樹を好きな気持ちは、絶対変わらない。

強がった後に残る、むなしいだけの後悔はしたくない。

いつか別れがくるなら、その辛さは本当の自分で受け止める。

その夜、私は春樹に抱きしめられて眠った。

春樹の匂いも声も、鼓動や温もりも、全部が私を幸せにしてくれていた。

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