白い天使のうた (9)
りら(彼女)の方も、だいぶ心を開きつつあるのかもしれない。
始め警戒するように、振り返り振り返りにらみつけるように退散していた彼女も、
最近では別れの際に軽く頭を下げるようになった。
いつも(気をつけ)をして、深々と頭を下げ一礼する塚本に真似るようになったのだ。
ごくたまに、はにかんだのか、ひきつっているのかわからない顔で会釈する時がある。
ずっと動かしていなかった筋肉の、どこを動かせばいいのかわからないのかもしれない。
塚本も、始め気付かなくて、不審に思っていたのだが、
彼女が”笑おうとしている”と気付いた時、
見送る彼女の後ろ姿を見て、涙が止まらなかった。
彼女が”変わろうとしている”。
何も無かった地に、
新しいいのちが芽生えたような、
そんな感動をした。
彼女の傷ついた心に、
少しずつ、雨の水溜まりのようなものが満ちてゆく。
「もっと、満たされてほしいな。」
塚本は、静かに閉められた扉に向かって、
そう祈った。
始め警戒するように、振り返り振り返りにらみつけるように退散していた彼女も、
最近では別れの際に軽く頭を下げるようになった。
いつも(気をつけ)をして、深々と頭を下げ一礼する塚本に真似るようになったのだ。
ごくたまに、はにかんだのか、ひきつっているのかわからない顔で会釈する時がある。
ずっと動かしていなかった筋肉の、どこを動かせばいいのかわからないのかもしれない。
塚本も、始め気付かなくて、不審に思っていたのだが、
彼女が”笑おうとしている”と気付いた時、
見送る彼女の後ろ姿を見て、涙が止まらなかった。
彼女が”変わろうとしている”。
何も無かった地に、
新しいいのちが芽生えたような、
そんな感動をした。
彼女の傷ついた心に、
少しずつ、雨の水溜まりのようなものが満ちてゆく。
「もっと、満たされてほしいな。」
塚本は、静かに閉められた扉に向かって、
そう祈った。
感想
感想はありません。