魔女の食卓 3
『スープ料理』
魔法のクッキー
女はみんな
魔女である
なぜなら
誰でもひとつは
魔法を
使えるからだ
*社員食堂でOLの山 口、戸倉、朝倉が話 している*
山口
「ねぇねぇ、今度本社から転勤になった石崎部長ってステキよねぇ。
まだ若いんでしょ」
戸倉
「三十一よ。それで部長だもんねぇ。
イケメンだし、背は高いし、頭はいいし、性格も穏やかだし、その上ド・ク・シ・ン!
独身なのよねぇ。
至れり尽くせりとはこの事よ」
朝倉
「あなた達ね、それで驚いてちゃダメよ。彼はね、この支店の部長を二、三年勤めたら、また本社に戻ってね、それで本社の部長になるんですって。
もうそこまで決まってるらしいわよ。
年功序列なんて過去の遺物よ。
これからの企業は若いリーダーシップを求めているのよね。
石崎部長にはそれだけの実力と信望があるって事よ。
エリートコースなんて凡人が進む道なのよ。彼はその上を行くスーパーエリートよね」
山口
「あたし、アタックしようかなぁ。
アタック・ナンバー・ワン!」
戸倉
「アタックって、あんた彼氏いるじゃない」山口
「やだなぁ、あんなの彼氏じゃないわよ。
ただの軽い友達よ。
フレンドリー・ライトよ。
いざとなったら、いつだってポイよ」
戸倉
「いざって、どういう時よ?」
山口
「例えば石崎部長とあたしがイイ感じになっちゃうとか…」
朝倉
「ないない!そんな事絶対にない!天地がひっくり返って、全人類が逆立ちしてもナイ!」
山口
「ちょっと、その言い方ってあんまりじゃない」
戸倉
「ちっともあんまりじゃない。
当然の発言よ。」
朝倉
「だいたい石崎部長にアタックなんて間抜けな事言うの、あんただけだよ」
山口
「どうしてよ?」
朝倉
「どうしてって?
あんた知らないの?
彼にはね、恋人がいるのよ」
山口
「いるの?恋人」
朝倉
「当たり前じゃない!みんな知ってるわよ。この会社の半径5キロ以内の人間なら、みんな知ってるわよ。
今の総理大臣の名前は知らなくても、石崎部長の恋人の名前なら、誰に聞いてもすぐ答えるわよ」
山口
「誰よ?」
戸倉
「本社の社長秘書の大西麗子よ。
あんた本当に知らなかったの?
そんな事じゃ、これからの情報化社会で生き残れないよ。
社会の迷子になっちゃうよ」
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