ロストクロニクル8―21
「バカ野郎、パール。逃げろ!」
パールはウェドの言葉にふと我に返り、体勢を整えた。
「敵にすると厄介な奴だな」
タクトはパールに向かって駆け出した。
パールの前にウェドが立ちはだかった。
「次は必ず止める」
タクトはウェドに飛びつきながら斬りかかってきた。
ウェドはその衝撃をハンマーで受け止めた。
「パール!」
「わかってる」
パールはウェドの後ろから傀儡に向かって矢を放った。
矢は一直線に油断していた傀儡の肩を射抜いた。
傀儡はよろめき、同時にタクトは剣を地面に落とした。
「あれ?」
「タクト!正気が戻ったのね」
パール達もまさかここまでの効果があるとは思わなかった。
「あっ!イエル!」
タクトは急いでイエルの元へ走った。
「傀儡!イエルに何をした!」
タクトは自分がしたことを覚えていなかった。
「え?あなたがしたも同然ですよ?」
傀儡は高笑いを始めた。
「ふざけるな!」
(タクト・・・)
タクトの耳に古代語が聞こえてきた。
「イエル?」
タクトはイエルのそばまで近寄って必死で言葉を聞いた。
(お願い、赤い城の、中の・・・霧の、装置を・・・)
イエルは最後の力を振り絞り、親指ほどの小さな薄いケースをふたつ渡した。
「ごめん。行かないと」
思い詰めた顔を見てパールは笑顔で何も聞かずに「いってらっしゃい」と背中を押した。
「ここは任せろ。俺達で止めておいてやる」
ウェドは傀儡の方を向いたままだ。
「タクトさん。気をつけて下さいね」
タクトは三人に「ありがとう」と手を振り、目前にある城に向かって全力で走っていった。
「はぁはぁ」
城とはいえ、遠くで見ていたよりも小さいことに驚いた。小高い丘の上にあったせいだろうか。
タクトは思い切って城の両開きの扉を開いた。
城の中は、廃墟のように埃を被り、蜘蛛の巣は至る所にあり、床は所々抜け落ちていた。広さ自体も少しお金持ちの家という程度で城と呼ぶには程遠かった。
「霧の、装置?」
何となく目の前にあった階段をかけ上がる。
すると、前に三つの扉が現れた。
正面の扉に入ってみる。
扉は軋んだかと思えば、壊れて取れてしまった。
腐っていたようだ。
扉を取った先には暗く、先が見えないほど長い階段が上へ続いていた。
タクトは一気にかけ上がる。
パールはウェドの言葉にふと我に返り、体勢を整えた。
「敵にすると厄介な奴だな」
タクトはパールに向かって駆け出した。
パールの前にウェドが立ちはだかった。
「次は必ず止める」
タクトはウェドに飛びつきながら斬りかかってきた。
ウェドはその衝撃をハンマーで受け止めた。
「パール!」
「わかってる」
パールはウェドの後ろから傀儡に向かって矢を放った。
矢は一直線に油断していた傀儡の肩を射抜いた。
傀儡はよろめき、同時にタクトは剣を地面に落とした。
「あれ?」
「タクト!正気が戻ったのね」
パール達もまさかここまでの効果があるとは思わなかった。
「あっ!イエル!」
タクトは急いでイエルの元へ走った。
「傀儡!イエルに何をした!」
タクトは自分がしたことを覚えていなかった。
「え?あなたがしたも同然ですよ?」
傀儡は高笑いを始めた。
「ふざけるな!」
(タクト・・・)
タクトの耳に古代語が聞こえてきた。
「イエル?」
タクトはイエルのそばまで近寄って必死で言葉を聞いた。
(お願い、赤い城の、中の・・・霧の、装置を・・・)
イエルは最後の力を振り絞り、親指ほどの小さな薄いケースをふたつ渡した。
「ごめん。行かないと」
思い詰めた顔を見てパールは笑顔で何も聞かずに「いってらっしゃい」と背中を押した。
「ここは任せろ。俺達で止めておいてやる」
ウェドは傀儡の方を向いたままだ。
「タクトさん。気をつけて下さいね」
タクトは三人に「ありがとう」と手を振り、目前にある城に向かって全力で走っていった。
「はぁはぁ」
城とはいえ、遠くで見ていたよりも小さいことに驚いた。小高い丘の上にあったせいだろうか。
タクトは思い切って城の両開きの扉を開いた。
城の中は、廃墟のように埃を被り、蜘蛛の巣は至る所にあり、床は所々抜け落ちていた。広さ自体も少しお金持ちの家という程度で城と呼ぶには程遠かった。
「霧の、装置?」
何となく目の前にあった階段をかけ上がる。
すると、前に三つの扉が現れた。
正面の扉に入ってみる。
扉は軋んだかと思えば、壊れて取れてしまった。
腐っていたようだ。
扉を取った先には暗く、先が見えないほど長い階段が上へ続いていた。
タクトは一気にかけ上がる。
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