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もし、愛に格差があっても。1

[370]  るー6  2009-11-15投稿
12月24日。クリスマスイブ。
辺り一面、煌びやかなネオンが、ひしめき合うように灯され、その通りにはカップルが手を繋いで恋愛気分に浸っている。
でも、中には…

恋という単語すら似合わないような、人もいた。

東原走太。23歳。フリーター。
高校を中退した後、親に見放され、仕事を求めて東京に来たが、不景気の影響で職につけず、今では残念なネットカフェ難民。

職がないから金がもらえない。
金がないからまともな所に住めない。
住めないからネットカフェが仮の住居。
この悪循環が当たり前になってきた。
「あ…何だこれ?」
落とし物を、拾うまでは。

「どうですか。お母様。」「きれいよ。お見合いに相応しい格好ね。」
「それでは、行って参ります。」
遠藤菜々。同じく23歳。両親は有名な政治家。
3歳の頃からフランス語、バイオリン、茶道、英語を習い、小学校は学習院初等科、中学校はフランスの中学校に通い、高校は青山女学院付属高校、大学はエスカレーター式に青山女学院。
まさに走太とは逆の超セレブな家庭に育った。
「お母様。私のキーホルダー知りません?すごく大切にしていたクマの…」
「…知らないわ。」
「じゃあ、落としたのかも…。さっきまで出かけてたから…。」
菜々は家を飛び出した。
「ちょっと菜々!お見合いはどうするの!」
「今回はいいです。」
母はため息をついた。
遠藤晴美。菜々の母さんだ。
晴美は有名な政治家。国会議員だ。
菜々に早く結婚させたいのは、理由がある。
金持ち同士が結婚すれば、財産は強大になる。
遠藤家の上に立つものはいなくなるからだ。
「…早く、菜々を結婚させないと。」
その顔は、焦りを超えて、執念に満ちていた。

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