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子供のセカイ。97

[329]  アンヌ  2009-11-16投稿
耕太は不機嫌だった。なおかつ、さりげなく美香の後ろに隠れながら、王子とジーナの方をチラチラと伺っている。
「お前の仲間ってあんなのばっかなのかよ。マシなのホシゾラさんだけじゃねえか?」
「うーん…。王子があんな風なのは珍しいんだけど、ジーナはいつもあんな感じよ。それに今のはあんたが悪いわ。」
美香は砂漠でジーナに胸ぐらをつかまれ、宙吊りにされたことなどを思い返しながら、複雑な顔で囁き返した。
ジーナはというと、こちらも怒り心頭の様子で、「私はまだ29だ」と唸っていた。王子とホシゾラは苦笑してそんなジーナをなだめている。
美香は場の空気を変えようと、とりあえず腰の引けている耕太の背中を押して前へ出した。
「これが幼馴染みの如月耕太よ。年は私と一緒で十二歳。舞子を連れ戻すために一緒に来てくれたの。」
「それで、こっちが月王子。最初の領域で出会ってから、ずっと私を助けてくれているわ。そしてこちらがジーナ。三つ目の領域で出会って、私と王子を助けるために領域を越えてくれたみたい。それでこちらがホシゾラさん。この“生け贄の祭壇”の祭司で、あんたを助ける時、いろいろ準備や手助けをしてくれたの。」
王子たち三人に耕太を、耕太に王子たち三人をそれぞれ紹介した後、美香は様子を見ようと腰に手を置いて黙ってみた。ホシゾラはすぐにあの神秘的な瞳で、「改めてよろしくね」と微笑んだが、王子とジーナは無言だった。何でこうなっちゃうのかしら?美香は頭を抱えたくなってきた。だが、まあ仕方ない。きっと時間が解決してくれるだろう。美香とて最初から二人と仲が良かったわけではないのだから。
「……よろしく、お願いします。」
えっ、と思って顔を上げると、耕太が深々と頭を下げていた。彼が素直に引き下がるのは珍しかった。ジーナと王子は、互いに決まりが悪そうに顔を見合わせた後、ぼそぼそと「……よろしく」やら「仕方ないな……」やら呟いていた。美香はホッと肩の力を抜いた。
「じゃあ、自己紹介も終わった所で、食事を始めましょうか。」
ホシゾラの取りなすような言葉も功を奏して、皆それぞれ王子が座るベッドの周りの椅子に腰かけた。ホシゾラが全員にパンとコーンスープと簡単な肉料理の載ったトレイを渡した後、それぞれがトレイを膝に乗せて食事を始めた。
美香は本題に入ることにした。

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