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神のパシリ 34

[365]  ディナー  2009-11-17投稿
いつぞや目にした、なまめかしい脚に、肉感的な曲線を描く体………


白き者。

光の一翼。


レミエル。

「下郎が…時間を歪めてまで…貴様、目的を言えっ!」

レミエルの目の前に、フードを目深に被った、人かどうかも分からぬ者。

おそらく、この者が『魂喰い』…で間違いないのだろう。

フードの者は、フードの暗がりから見える口をにやりと笑わせた。

「…聞かれて、言うと思うか?」

「…だろうな。どちらにしろ、刻を歪めるのは禁忌だ。裁いてやる」

「ふっ…恐い恐い」

レミエルを茶化すように、フードを被った者はマントコートから腕を出した。

それは、まるで悪魔を思わせるいびつな腕。

指は鋭く長く、闇をまとっていて、はっきりとした定形を持っていない。

今にも空間と同化しそうな腕だ。

「塵芥にしてやるっ!」

レミエルが『魂喰い』に肉迫した。その美しい脚で『魂喰い』を蹴り飛ばし、追走する。

いつの間にか、手にはあの時と同じ槍が握られている。

「フハハハッ…いいねぇ。力強い魂を感じる…流石は神の御使い、って所か」
『魂喰い』は子供をあやすように、槍を手で払いながらレミエルの動きに合わせ、下がり、前進する。

「な、何!?一体何が……」

戸惑い、錯乱するレミーシュに、音もなくゼルが近付く。

「ゼ…ゼル……」

「ここは危険だ。事情はまた話す」

問答無用でレミーシュを抱きかかえ、尋常ならざる速さで離脱する。

「…ぅわああぁぁっ!」

その速さにレミーシュの口から悲鳴が上がる。

それとは入れ違いに、ゼルの頭上を、キアが尋常ならざる跳躍で飛び越す。

「…予定は大幅に狂ったが、まあ結果オーライってとこだねぇ」

キアを殿りに、三人はその場を離脱。

キアは様子見のために広場に残り、ゼルはレミーシュを連れて安全圏と思われる辺りまで退避する。

無人の、細い崩れかけた路地を駆け抜け、レミーシュを路地裏まで連れていく。

まだ、剣劇に似た、力同士がぶつかる音を体が感じとれる距離だ。

抱き抱えたレミーシュの体は、小動物のように小刻みに震えていた。

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