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ねぇ…大好きなのに。

[538]  春樹  2009-11-19投稿
亮は、すぐに来た。

待っていた私の目の前で亮は車を止めて、窓を開けた。

「無理だよ、帰ってよ、酔っ払ってるじゃん」

私の心には、亮への恐怖心がある。

殴られるのは、怖くないはずなのに、何故か亮が怖い。

「うるせーよ。乗れよ」

亮が怒鳴る。

「やだ。帰ってよ」

「じゃぁお前ん家行くから」

亮はそう言って、車を道路脇に寄せ、エンジンを止めた。

そして、亮が車から出てきた。

「やめてよ」

私は亮を押さえ、車のドアを開けた。

「じゃぁ、乗れよ」

亮は強気だった。

私は、車に乗った。

「なんで?亜弥なの?女なんていくらでも居るんでしょ?違う人に遊んでもらいなよ」

私は動揺していた。

「お前、もう喋んな」

「なんで?じゃぁお願い、帰ろうよ」

「だから、勝手に喋ってんじゃねーよ」

亮が怒鳴る。

私は喋るのをやめた。

「じゃぁ、お前ん家行くのと、ラブホ行くのどっちがいい?」

【私が今我慢して、この事も誰にも喋らなければ、全部すぐ終る】

「ラブホ」

私には、それしか選択肢がなかった。

亮は車を走らせた。

【やだよ…春樹…春樹…春樹】

私は、助手席の窓から外を見たまま、心の中で春樹の名前を呼び続けた。

そして、すぐホテルに着いた。

「脱げよ」

亮が怒りながら言う。

「やだよ…やだ…やだ…」

辛かった。

事が終ると、亮はすぐに寝た。

私は真っ暗なトイレの中で、春樹にメールした。

「起きてる?」

春樹から、返事は無かった。

もう夜中の2時を過ぎていた。

私は携帯を握りしめた。

「春樹…ごめんね」

小さい声で、そう呟いた。

溢れ落ちる涙が、私の心を、傷付けていた。

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