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神のパシリ 35

[392]  ディナー  2009-11-19投稿
「…大丈夫か」

ゼルは、出来るだけ優しく、レミーシュをその場に降ろした。

「へっ…平気…いつもの事だからっ…」

下唇を震わせるレミーシュ。

…いつも、死という、人間への危険と隣り合わせでなくてはならない立場に、ゼルは分からないながらも同情した。

「ゼル…あんたも、リーダーも、……あの羽根付き女も…一体何者なの……!?」

レミーシュは、意外にも魂喰いより先にゼル達に矛先を向ける。

「絶対おかしいよ…普通じゃない…」

レミーシュは首を横に振り続け、自らの肩を抱く。
「あんた達も…あのフードの人と同じで……私をハメようとしてるの!?」

「…今話しても、正確にお前の耳には届くまい」

レミーシュは、魂喰いが人外だとは認識しているようだ。

すなわち、魂喰いが何かそれと分かる説明をしたか…。

「…奴は、何をお前に話した?」

「…知らないよ…」

レミーシュは半分自暴状態のようだ。

『力』を持ってして尋問してもいい……が、ゼルは躊躇した。

もはや、レミーシュに感情を傾けない事など、できなかったのだ。

外見的特徴だけで無条件に自分を慕い、リスクの高い仕事をさせ、

そして、半ば騙した。

ただの哀れみとも言えぬ、もっと深い空虚さがゼルにあった。

「すまない」

思わず、そんな言葉が口をついた。

レミーシュはその場にうずくまり、返事すらしない。

相当混乱しているように見受けられた。

ゼルはレミーシュをただ傍観するしかできない。




…と。

「ここにいたか。計算はまだまだ狂いを止めていないよ」

キアが音もなく現れた。うずくまるレミーシュに一瞥し、すぐゼルへ向き直る。

「…光のパシリが……押されてる」

「…馬鹿な」

「それほどまでにヤツは強いのか…それとも、カラクリがあるのか…」

「……援護するしかないな」

「光のパシリとかぃ?どんだけキミは仕事熱心なんだ…」

キアは呆れ顔で苦笑しながらも、背中から蛮刀サイズほどの蒼く煙るナイフを出した。

「まぁ…あんな奴のさばらせるのは確かに面白くないよね。
…月のパシリも一枚噛ませてもらうよ?」

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