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神のパシリ 37

[373]  ディナー  2009-11-22投稿
「貴様、一体…!」

ゼルが言い終わるより早く、魂喰いの上半身は灰塵となって、湿っぽいロロの風に舞い散った。

レミエルが、その躯をゆっくり起こす。








もはや、それは光のパシリではなかった。

「これが光のパシリか。エロい体してるなァ」

レミエルはそう言って、自らの胸を揉みしだく。

「…どれ…」

『レミエルだった者』は、絹のように滑らかな掌をゼルに向けた。

ゴンッッッ。

重厚な鈍器で殴られたような衝撃。

ゼルの体が風に舞う紙切れのように宙を舞い、煉瓦を破壊して地面に叩きつけられる。

「…がっ…ハァッ!」

「…ふーん、まぁこんなモンか」

レミエルが………


否、


魂喰いが、美しい唇を笑わせる。

「こいつの躯も、魂も戴いた。…やっぱりパシリの魂は段違いだな」

「なん…だと…」

「…目的は何だい」

いつの間にか、キアがゼルの傍らに立っている。




「…魂だよ。魂喰らってんの。それが、世界の、何よりの『力』だからサ。

オレはな、強さが欲しいんだよ。

でさ、世界のルールを変えてやるんだ。

オレの世界を創るためにな。

神なんて、どんな神だろうと

クソ喰らえ、だ」


「ふざけた野郎だ…。何もかも、『存在』を創り出したのは神だ。神に弓を引いても、秩序を変えたとしても、それは貴様自身の『存在』も無くなる事を意味する…」

「それが気に喰わねーんだよ。創り出した?ノボせやがって。オレはな、神も、世界もクソ喰らえなんだよ。神の『存在』なんか消して、縛りだらけの世界とはオサラバさ。俺がこの世界の新しい主になってやる。」

「…一理ある事は認めよう。だが、貴様を好きにさせるのは不快だ」

ゼルは大鎌を左腕で頭上へ上げ、振り回した。

「…今日は満月だぞ?お前が死のパシリで、月に弱い事知ってんだよ」

「…口の減らない奴だ」

ゼルの瞳に、怒気が灯った。

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