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君に捧ぐ 〜21〜

[285]  k-j  2009-11-23投稿
 僕は万札を手に取った。
「こんなもの…」
「返して!」
 君は必死に取り返そうとした。
「うるせぇ! こんな汚れたものなんか…」
 人生で初めてお金を破った。
 しかし気分は全く晴れない。
「なんてことすんの!」
 君のその態度にまた苛立った僕は、君に細切れの札を投げつけた。
「そんなに大事なら返してやるよ」
 君は怯え、そして悲しそうだった。
「……ったの」
 君は下を向いたまま呟いた。
「ああ? 聞こえねぇよ」
「全部嘘だったの! 援交なんて一度もやったことない!」
「な…嘘つくなよ! あんだけ色々言ってたじゃねぇかよ!」
「嫉妬してほしかったの!」
「だからってそんな嘘つかねぇだろ! 騙されねぇぞ!」
「本当に全部嘘だったの! 前に言ったでしょ!? 私虚言癖があるの!」
「きょ…なんだって?」
 僕は一瞬にして怒りを忘れてしまった。
 虚言癖――。
 確かに君は以前そんなことを言っていた。
 気を引こうとして大げさに言ったり嘘をつくことがあると。
「…今回もその虚言てやつって言いたいのか?」
「…うん」
「じゃあこの金はなんなんだ?」
「たまたまおばあちゃんに貰ったの…」
「信じられると思うか? 援交してきたってずっと聞かされてたんだぜ?」
 君は暫く黙っていたが、うつむきながら、
「証拠になるかわからないけど…。最初にしたとき私凄く痛がってたでしょ?」
「…ああ」
「私あのときが初めてだったの」
「…は?」
「多分暗くてわかんなかったんだろうけど、血も出てたんだよ…?」
 君を見た。うつむいているが、嘘をついてるようには見えなかった。
「でもだって、もうかなり慣れてるって…」
「だからそれも全部嘘なの。強がってたの…」
 消え入りそうな声で言った。
 僕は君を信じようと決めた。
 決めたら涙が出てきた。
 どうしょうもなく溢れてきた。
「どうしたの…?」
 君は心配そうに聞いてきた。
 僕は首を振ることしか出来なかった。
 嬉しかったのだ。君が援交をしていなくて本当に嬉しかったのだ。
 体の中のドロドロが消えていく。
 君を見た。
 目が合った。
 君の瞳は涙で濡れていてとても綺麗だった。

 二人ともあることに気付いた。

「お金どうしよう…」

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