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ねぇ…大好きなのに。

[365]  春樹  2009-11-25投稿
そして、すごく長く感じた苦痛な時間は終わり、私は春樹と家に帰ってきた。

家に着いてから一時間。

私は、友達と電話をする事で怒りを抑えていた。

友達との電話が終わっても、収まらない私のイライラ。

二度目の限界だった。

私は春樹を、泣きながら殴り続けた。

春樹は、それでも私の気持ちを解ってはくれなかった。

「何がそんなに、気に入らないの?」

春樹は、私の腕を押さえながら聞いてきた。

私は自分でも、まだ自分の気持ちが解っていなかった。

だから、上手く伝えられない事も、私を苦しくさせていた。

それでも、春樹が大好きな気持ちは変わらなかった。

次の日私の手は、あざだらけになり、腫れていた。

春樹は笑っていた。

【ねぇ…春樹、気付いてよ。亜弥の心は、こんな傷より、もっと、もっと傷付いてるんだよ】

そう思いながら、手が腫れる程春樹を殴った事を反省した。

お盆休み。

「明日海行く?」

突然聞いてきた春樹。

「うん」

私が笑顔で答える。

その日は明日の仕度や、買い物をした。

夜になり、もうすぐ寝ようと思っていると、春樹の携帯に友達から着信が入った。

私はそれだけで、気持ちが落ちる。

「明日海行くけど、一緒に行く?」

春樹が電話越しに、そう言った。

また、私に怒りが込み上げてくる。

結局友達は、子供が小さいから行かないと、断った。

でも、私は春樹がその友達を誘った事が、許せなかった。

三度目の限界。

もう、春樹を傷付けないと決めていた。

だから、怒る自分を傷付けた。

春樹が寝たのを確認してから、私は自分の腕に、タバコのフィルターを丸めて置き、ライターで火を着けた。

一度では、収まらず同じ場所にもう一度フィルターを丸めて、火を着けた。

二度と消えなくなるのは、解っていた。

見つかったら、春樹に怒られる事も、解っていた。

それでも、その時の私にはそれしか怒りを抑える方法が見つからなかった。

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