【夢くい】12
(・・ヒカリ??・・誰??・・・あっ!!)
シキはふとさっきの魔女を見た時にライトが呟いた言葉を思い出した。だか、その事よりもライトの涙に驚きを隠せない。凄く凄く悲しそうに涙を流すライト。シキはそっとライトの涙を指で拭いた。
「・・えっ!!??」
涙を拭いた手をいきなりライトが掴んで引き寄せられライトはシキを抱き締めた。
「ちょっ!!ライト!!」
シキは顔を真っ赤にしてライトの体をぐいぐい押したが、ライトの力は体では考えられ無いほど力強くて、びくともし無い。
「・・ヒカリ・・ごめんな」
「・・えっ??」
「ごめん・・守ってやれなかった。この世で1番守りたかったのに・・。ごめん・・ヒカリ」
「・・・・・」
シキはライトの力が一瞬緩んだすきに、ライトを突き飛ばし、走って部屋を出た。ライトは壁におもいっきり頭を打ち目を覚ました。
「!!!・・いってぇ〜!!・・・・・・・・シキ??」
走り去るシキを見てライトは何が起きたのか分からずに呆然としていた。
「はぁ・・はぁ・・はぁ」
シキはあのまま走り、ウルフの隠れ家の中にある広い森の中に入っていた。
「何で・・私逃げたんだろ??」
シキは木にもたれて膝を抱えて座った。
「こんな所で何してんだ??」
「誰っ!!??」
振り返るとトキが木の枝を両手に抱えて立っていた。
「あっ・・びっくりした」
「えっとシキだっけ??」
シキは頷いた。
「この森は広いから迷うし、危ないからもう戻りな」
「うん・・」
シキは立ち上がり周りを見渡した。
「あの〜」
「ん??」
「既に帰り道が分からないんですけど・・ごめんなさい」
「分かった。じゃあもう少しかかるけど一緒に戻るか」
「うん、ありがとう」
シキはトキと一緒に枝を拾い、一緒に森を出た。
「!!??」
「・・どうしたの??」
トキが険しい顔をして辺りを見渡している。
「何か変だ」
「えっ??」
シキも周りを見渡すと、隠れ家が少しボヤけている。
「!!これ何・・??」
するといきなり地震が起こり町が揺れた。地面には亀裂が走り、木は折れていく。トキは枝を放り投げた。
「シキ!!俺の背中に乗れっ!!」
「えっ!!??」
トキが地面に手をつくと、トキの体がだんだんと大きな狼の体へと変わっていく。完全に狼の姿になるとシキは急いで背中に乗った。
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