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遠い遠い君へ

[260]  くろ  2006-08-11投稿
「え!?佳奈先輩が!?」
七海の顔が青ざめる。

「うん・・・。
 やっぱり七海が言ってたことは本当だったんだね。
 信じなくてごめんね・・・。」

「ううん。そんなことは全然良いの。
 だって、紅璃は先輩のこと凄く尊敬してたし、
 簡単に信じるなんて無理だよ。」
七海はいつも優しい。

「ありがとう、七海。
 あと・・・。」

私は決意を七海に言おうとした。
でも、辛すぎて、涙が出てきそうになる。
もう涙は見せたくなくて私は下を向いた。

「何?紅璃、言ってみて。」

「私、晃輝先輩のこと・・・
 諦める・・・。」

「ええ!?」

七海の大きい目が更に大きく見開かれる。

「なんで?紅璃!! 
 佳奈先輩のために諦めるの?」

七海も何だか泣きそうだ。

佳奈先輩に譲ろうとしたわけじゃない。
むしろ、譲る気なんて、更々無い。
私は恐いんだ。
またあんな目に遭うくらいなら死んだほうがマシだ。
私は言い訳が見つからない。
沈黙する私に痺れをきったせいか、七海が口を開く。

「紅璃、恐いの?
 恐いから、晃輝先輩のこと諦めるの?」

七海は鋭く私の心の底を突く。

「紅璃、佳奈先輩は確かに恐いかもしれない。
 だって、酷いことされた後だもん。
 なお更だよね?
 でも、先輩からは私が守るよ?
 私じゃダメかな?
 協力させてよ。紅璃の恋。」

七海の言葉は力強くて、勇気が湧いてくる気がした。

「七海・・・。」

「晃輝先輩に話したほうが良いよ。
 全部。
 晃輝先輩の問題でもあるんだし、
 晃輝先輩なら守ってくれるよ。」

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