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魔女の食卓 47

[395]  矢口 沙緒  2009-11-27投稿


『デザート』
大人向けの甘くない
デザート



*レストランバーのテーブル席で、OLの山口、戸倉、朝倉が話している*

山口
「ねぇ、部長が入院してから、もう一週間経つでしょ。
それでさ、あたし今日お見舞いに行ったのよ」
戸倉
「行ったの?
お見舞い?
あんた本当に物好きだね。
それで、どうだった部長?」
山口
「それがさぁ、ビックリしちゃって。
過労って事になってるけど、全然違うよ。
過労なんかじゃないわよ」
朝倉
「じゃ、本当なの?
あの噂」
山口
「うん、間違いないわね。
やっぱり拒食症よ。
ベッドに寝て、点滴してるんだけど、ガリガリに痩せ細って、目ばっかりギョロギョロしちゃってさ。
一週間前の部長の面影なんて、全然ないのよ。
髪だって半分ぐらい白髪になっちゃって。
それでさ、あたしの顔を見たとたんに
『川島君がどこに行ったか、知らないか?』
って。
あたし川島さんの事は、あまりよく知らないって答えたら、
『誰か、川島君と親しかった人を知らないか?』
って、とにかく川島さんの事ばっかり聞くのよ。
あたし、やんなっちゃって、帰ってきちゃった」
戸倉
「部長って、そんなに川島さんの事好きだったのかしら?
ちょっと驚きよね」
山口
「人間はさぁ、本当に好きだった人に逃げられちゃうと、あんなになっちゃうのかしら?
怖いなぁ…」
戸倉
「川島さんを好きになる部長も部長だけど、あの部長から逃げる川島さんも川島さんよねぇ。
まったく、信じられない!」
朝倉
「大西麗子もボロボロらしいじゃない」
戸倉
「そりゃそうでしょうよ。
恋人をあの川島さんに取られたってだけでも、並大抵のショックじゃないのに、その恋人を半病人にまでされちゃあ」
山口
「半病人じゃないよ。
本当に死にそうなのよ、部長。
担当の先生が言ってたもん。
本人が物を食べない以上、どうしようもないって。
このままじゃ、死を待つばかりだって。
栄養剤や点滴じゃ、限界があるらしいよ」
戸倉
「それじゃ、大西麗子だって収まりがつかないわよねぇ。
それで必死になって川島さんの行方、捜してんのね」
山口
「大西麗子が川島さんの行方、捜してんの?」

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