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ロストクロニクル9―2

[395]  五十嵐時  2009-11-28投稿
「危険な石?どういう石なんですか?」
シャープの問いかけに少し躊躇いながらもチェロは答えた。
「この石は・・・ある重要なことに必要だと言われていますが、具体的に何に必要なのかは分かりません。でも、昔この石を巡って城に攻めてきた人々がいたらしくて・・・」
チェロはそこまで言うと下を向いてしまった。
「それで、危険な石なんですか?」
「はい。過去にはそれが何度も何度あったらしいのです」
「そうだ。そんな石だったらあの男には絶対に見せちゃだめですよ」
シャープの耳打ちにチェロもほくそ笑みながら「分かっています」と耳打ちした。
チェロはネックレスを取り出すとそれを石と繋げてペンダントにし、首にかけ、石を服の内側にしまった。
「交代だー」
だるそうにパラス兵の服を着た男がシャープ達の牢に向かってきている。
「交代?少し早いような」
牢を見張っていた兵が「まぁいいか」と持ち場を離れた。
「おい、助けに来たぞ」
シャープ達は一瞬、声の主が誰か分からなかった。
「あっ!パットさん!」
牢の外にいたのは軍服を着たパットだった。

「兵士達が侵入者を捕まえたとか言ってたから、来てみたら、まさか本当にお前達だったとはな」
パットの無意味な大笑いが地下に響く。
「御初にお目にかかります。チェロと申します」
パットにとても丁寧な挨拶をした。
「そうか。あんたが姫のチェロさんか。今の王国の現状は分かっておいでですか?」
パットの態度は真剣なものになった。
「はい。姫である以上、国の現状を把握する義務はありますから」
「そうですか。では、なぜ不死鳥は奪われたのですか?」
パットの表情はより一層厳しくなった。
「それは・・・」
「パットさん。今はそんなこといいでしょう」
シャープが静止した。
「今だからこそ聞かないといけない」
パットはチェロから目を離さない。
「確かに・・・私にはその質問に答える義務があります。でも、なぜ盗まれたのか、まだはっきりとしていないのです」
「なんだと!どうして分からないんだ!原因が分からなければ、例え、取り戻せても、再び盗まれるのが関の山だぞ!」
ウェド達がどれだけ苦労をして木彫りの不死鳥を集めても、また盗まれるかもしれない思えば、怒鳴りつけたくなるのも仕方がなかった。

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