携帯小説!(PC版)

開かない箱

[423]  兼古 朝知  2009-12-04投稿

開かない箱
特に目立った柄もなく
あるとするなら
蓋にひとつの鍵穴
鍵は作られていない

鍵穴を作ったあとで
鍵を作るのを
忘れてたことに
気づいた

あぁ もう
決して
開けられることはない…
作った本人が呟いた

そんなに嘆いて
中には一体 何が
入っているのだろう?
大泥棒がその
技術をもって
箱を開けた

そこにあったのは
懐中時計が ただひとつ

大泥棒にはわからない
他の誰にもわからない
作った者しかわからない
大切なもの

針は止まったままでも
その針が指すは
あの日の時刻

忘れないようにと
箱にしまったのに
開けられなくなって
忘れるだなんて
そんな
馬鹿な話があるか

大泥棒は
笑みを浮かべて
箱を閉じた

鍵は開けたままで

感想

  • 33255: …めっちゃいい詞だ…世界観をイメージしやすいです★ディナー [2011-01-16]
  • 33261: (笑)なんか笑顔になるイイ話だなぁ〜こんなの好き◆ [2011-01-16]
  • 33269: 感想ありがとうございます?:朝知 [2011-01-16]

「 兼古 朝知 」の携帯小説

詩・短歌・俳句の新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス