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子供のセカイ。111

[423]  アンヌ  2009-12-04投稿
必死で自分に言い聞かせてみても、胸の痛みは消えなかった。嫌われている、と悟ることは、とても悲しくて、むごい。
「美香。」
耕太は背を向けていたから顔は見えなかった。しかしその口調は一筋の笑いも含まず、どこまでも真摯だった。
「今は、ごちゃごちゃ考えるのはやめようぜ。まずは本物の舞子に会わなきゃさ。そん時にまた色々細かいことを相談すればいいだろ。」
いかにも耕太らしい意見だった。耕太はいつも前向きだ。悪く言えばそれは問題を後回しにする、ということだが、今の美香には救いだった。
「……わかったわ。」
ありがとう、と呟いた声は、とても小さくかき消されそうなものだったが、ちゃんと耕太には届いていた。
王子とジーナは渋い表情をしていた。美香たちの姉妹関係がわからず、二人の態度からそれを推測しているようだった。しかし彼らはあえて尋ねたりはしなかったし、美香も進んで言うことはなかった。先ほどの舞子の態度を見た後に説明をするには、あまりにも荷が重すぎたからだ。
美香は気を取り直そうと、パン、と自らの両頬を叩くと、三人に声を掛けた。
「さぁ、これからの行動を決めましょう!ジーナや王子は、ラディスパークのどこに舞子がいるか知ってる?」
王子は少し考える素振りを見せてから、言った。
「たぶんだけど、スクルの城じゃないかな?僕がずっと以前にラディスパークにいた時は、先代の支配者はそこに住んでいたから。」
ジーナは驚いたように王子を見た。
「お前、知らないのか?スクルの城は舞子の手によって改築され、場所も移されたらしいぞ。確か今は……コルニア城という名前じゃなかったか?」
「そうなの?僕の領域がジーナのところより遠いからかな。そんな情報は初めて聞いたけど……。」
「そのコルニア城、というのはどこにあるの?」
二人は同時に困ったように目を泳がせた。恐らく二人とも知らないのだろう。二人が現在、“子供のセカイ”の外れに位置する領域にいることを考えれば、無理もなかった。
「悪いな、力になれなくて。」
「いいえ、きっと探せばすぐに見つかるわ。支配者が住む場所なら有名なはずだし、ラディスパークにいる人に聞けばわかるかもしれない。」
美香は広場を見渡して、話しかけやすそうな人を探した。

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