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地に伏した 少女が一人

[327]  兼古 朝知  2009-12-06投稿

戦場にて 兵の他に
地に伏した 少女が一人
火薬玉と弾丸の
飛び交う中で
地に伏した 少女が一人

青年の兵が 少女に気づき
生死の確認
…まだ生きていた


「おじ ちゃん」


消え入りそうな か細い声


「わ たし

我慢した よ

ご飯少な くて も

文句 言わなか た よ

兵隊さんがね

勝手 に
お母さん殺して も

泣かな かったよ

ねぇ ど ぅして?

痛いよ 痛いよ

何で
戦争な んて やったの
死 んじゃう んだよ

みんな みん な…」


冷たくなった幼い体を
そっと弾丸の届かぬ
岩影に隠し

最後にぽつり 言う

「ごめんなぁ…
ごめんなぁ…?
こんなちっちゃい
子供まで…
おじちゃんが悪いんだ…
おじちゃんたちが…
悪いんだ…」



青年の兵は フラリと消えて
もう誰にも
見かけられなかった

その岩影には
地に伏した 少女が一人…

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