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知ってるよ。?

[314]  やまだ  2006-08-12投稿
知ってるよ。

君の涙の理由。

でも、あなた知らないでしょ。
あたしがあなたの涙の理由を知ってること。


――…?…――


立ってるのが精一杯で、あたしには鈴木君の腕を振り払う余裕なんかなかった。


鈴木君に抱き締められてから、10分くらい経ったと思う。


長くて短かった。

ドキドキしすぎて、倒れそう。

『あ…あの鈴木くん…』


ずっと黙ってる鈴木くんに声をかけたら、
鈴木くんは黙ったままゆっくりあたしを自由にした。


『…ごめん。いきなり。びっくりしたよな。』
『う、うん。』
『急に腹痛くなっちゃって!』

ニコッと笑う鈴木くんを見たら、胸がパチンッと潰れそうになった。


『俺、部活行くね。』
『えっ…待っ…』


あたしが声をかける間も無く、鈴木くんは走って行ってしまった。

ポツンと残されたあたしは、呆然とさっきまでのことを回想する。


『鈴木くん…に…抱き締められた…』



ギュッと強く、一瞬息ができなくなるかと思ったくらい

つよく つよく つよく


抱き締められて

あたしは

何を想ったんだろう。



『…お腹痛い…だって…。』


クスクスと笑いが溢れた。

人に抱きついといて、お腹痛いって…

『わかりやすい嘘つかないでよ。』


天井を見上げた途端に、涙が溢れた。
笑いも涙も混ざっちゃって、あたしは自分がどうなってるのかよくわからない。


『…やだなぁ…』

あたし

『こんなに苦しいのに…鈴木くんのことこんなに好きなんだぁ…』


ばかみたい。



なんで、こんなに苦しいのに
こんなに悲しいのに
こんなに辛いのに


『なんで…ッ』



その時あたしは、待ってたんだ。

いつもの、暖かい掌を。

ありえないって思いながら、図々しいって思いながら

いつだって 待ってた。






『…お前昨日も泣いてたろ。なきむしー。』








この、声の主を。



『…お前泣かしてるやつは誰なわけ。』
『…ッ…知らないッ…』

あたしの頬に、暖かい掌がおかれる。


暖か過ぎて、涙が止まらない。

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