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捨てる男、拾う女?

[426]  幽玄  2006-08-13投稿
前輪と後輪がくっつく程へこまされた車が覆い被さるように俺の車に激突した。弔いの炎があがる。合掌。
[追っ手]「うッ、撃……」
追っ手の一人が我に返って、他の者を促そうとする。だが、それよりも早く俺はその一人に近付いていた。両肩をポンッと叩く
[男]「香典代よこせ…」
膝に確実な確証を持てる感触が伝わった。追っ手はブレーカーが落ちた様に前のめりに倒れる。
他の追っ手達が慌てて一斉に撃ち出す。しかし、そこにはもう男の姿は無かった。別の方向から金属が折れる音が響く。全員が音の方向へ振り向くと同時に、自動車用信号機が一人に直撃していた。
急いで飛んできた方へ構え直すが既にいない。別の方から倒れ込む音が聞こえてくる。締め落とされたのか泡を吹いて倒れていた。
男が不敵に笑っている。
[男]「遅いぜッ!」
銃を構える暇も無く、近くにいた一人が蹴り飛ばされた。壁に亀裂を残しズルズルと倒れ込む。
最後の一人が蹴り飛ばした隙を狙い銃を撃ったが、男には掠りさえしなかった。男が消えたと同時に急な浮遊感を味わい地面に倒れ込む。変わったブーツが目に入った。
[追っ手]「お前…、まさか…!?」
追っ手の言葉は最後まで続かず、右ジャブを喰らって男は地面に突っ伏した。

男は立ち上がり、フゥーッとため息をつきながら辺りを見回す。街路樹に車、信号機、壁。そういえば電柱も壊していた。また派手に暴れたもんだ。
[男]「あー…少し派手にやりすぎたかな?」
車は二台とも大破している。目的地には歩いて行かなければならなくなった。また一つため息をつき、元来た道を戻ろうと歩き始めた時。
地の底から響くように重厚な走行音が俺の鼓膜を震わせ、天を揺るがすように苛烈な砲撃音が街の空気を轟かせた。
[男]「…へッ?」
眼前いっぱいに鉄の塊が飛び込んでくる。瞬時に反射神経を超える超反応が脚へ命令を伝達する。
――刹那!
今まで立っていた場所が見事に穿たれていた。後方に跳躍しながら喧嘩を売ってきた相手を睨みつける。
[男]「おいおいおいおいッ!マジかよ!…、戦車なんて洒落になんねーぞッッ!チクショーッ!!」
着地した場所へ問答無用に次の砲撃とサブマシンガンが地面を抉(えぐ)る。当たりはしねーが、少し分が悪い。
[男]「チィッ!厄介な、溜めさせてくれる時間もくれやしねー…」
ひとまず逃げるしかなさそうだ。
…続きます

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