携帯小説!(PC版)

懐古の想い

[472]  ブランキー  2009-12-14投稿
ふわっ…ふわっ…

雪は音をたてて、アスファルトに吸い込まれていく。

淡く滲んだ斑模様は、まるで私の心のよう。

ハァー…ハァー…

吐息は白く彩られ、不浄な空気を清く染め直す。


コツン…コツン…

乾いた空気に、一人分の足音が響く。

人っ子一人いないこの街は、まるでこの世の終わり。
いつかの桜並木も、今は虚しくてたたずんでいる。


ふわっ…ふわっ…

アスファルトに吸収された雪が、太陽から垂れ下がる光の架け橋を辿ってまた空に還る。

そしてまた、しんしんと降りしきる。

冬の空は時間をゆっくりと巻き戻す。

まるで私を過去へと誘うように…

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