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あの人へ、愛の言葉を。《4》

[249]  アヤメ  2006-08-13投稿
私が小6になって、一ヵ月に一回、彼から手紙が届くようになった。「元気?」って挨拶から、「最近の俺のお薦めの本は…」なんてのまで。

だけど、私は一度も返事を書かなかった。

それでも彼は、
毎月毎月、おんなじ日に、私の好きな青空の封筒と便箋で手紙を送ってくれた。

彼は…尚兄は、
手紙の最後を、いつも同じ文章で締めていた。

『』
どういう意味なのかは、わからなかった。


私は中学生になった。同時に、尚兄からの手紙もぱったりと途絶えた。
(きっと、彼女でも出来たんだろうな。尚兄、性格いいから)
少し寂しかったけど、ちょうど同じ時期に佐代と出会ったから、その寂しさは薄らいでいたように思う。


そして、ある日。
「美帆子ー!手紙きてるわよー」
「どうせ通信教育のダイレクトメールでしょ?」
「尚人君だと思うわよ。住所がそうだもん。差し出し主の名前はないけど…」
(えっ…?)

私は手紙を母から奪い取って、急いで自分の部屋に戻った。
(尚兄からの手紙だ!)
私は単純にも喜んでしまった。たぶん、佐代の楽観的思考を少し受け継いだんだと思う。
でも、すぐに我にかえった。

「…青空の封筒じゃない」

封筒は、
青空じゃなく、
ただの白い封筒だった。
私は、一気に自分のまわりが真っ暗になったような気がした。

(きっと、もう手紙書かないって書いてあるんだ…)

一度でもこう思うと、もうとまらない。かもしれないじゃなく、そうなんだって確信にどんどん変わっていく。


気付いたら、
声を殺して泣いていた。


(どうして返事、書かなかったんだろう…
どうして手紙、嬉しかったよって…)


今更だ。
「尚兄のことが好き」
…って気付いた。

そして、こんな時こそ、
佐代の楽観的思考全開になってほしかった。


手紙の封は開けられなかった。開けて、その事実を突き付けられるのが怖かったから。



「久瀬?顔真っ青だけどだいじょぶ?」
そんなことがあっても、学校には毎日行った。
「もしかして、オールで私の貸した本読んだとか!?」
「…違うよ。
第一あれは3時間で読みおわった」
「えっ!?マジ!?さすが久瀬だわ!本当に人間??」
コロコロ表情が変わる佐代。あの時の私はこの佐代を見るためだけに学校にきているようなもんだった。
「な、何さ…人の顔をじろじろと…」
「いや、ふふっ…なんでもないよ」

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