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あの人へ、愛の言葉を。《5》*順番間違えました*

[309]  アヤメ  2006-08-13投稿
「うっわ…大人ばっかりじゃん。ほんとにここで自習すンの?」

私と佐代は、期末考査の勉強のため、近所の大きな図書館にきていた。
私も片手で数えるくらいしかきたことはなかったが、佐代は初めてだったらしく、司書のお姉さんに注意されるほど興奮していた。

(佐代のこういうとこ、似てるよなぁ…)
…尚兄に。


過去にこの図書館には、尚兄と一緒にきていた。尚兄もまた佐代同様に、司書のお姉さんに注意された。

「クスクス…
尚兄、子供みたい」
「だって…すごいじゃん!見てよこの本の量!俺ここに住みたいなぁ…」
「尚兄らしいね」
「美帆ちゃん!あっち行こう!」……―――\r


「うーんと1:2:√3だから…」
「久瀬よ…勉強熱心にもほどがありますわよ」
「勉強しにきたんだから…ってか、なんで植物百科事典!?」
「ねぇ久瀬。」
突然、真面目な顔。
珍しいこともあるもんだ。
「何?」

「私に何か隠してない?」

喉に鉛落とされた気分。
もしくは東京湾にセメントで足を固定されたまま沈められていく感じ。
どちらにせよ、その一言に物凄い重圧を感じずにはいられなかった。
「最近の美帆子、変。」

何も返答できない。誰にも、佐代にさえも気付かれてないと思っていたから。
「今日もやけに熱心に勉強してるし…
今日ここに誘ったのだって、その真意を聞こうと思ったからでね」
「…」
「さて、説明してもらおうかな?」


実際、
私は堪えられないところまできていたから、全てを佐代に話して聞かせた。
図書館の出来事から、尚兄との別れ、手紙のことにいたるまで…

今思い出したけど、あとにもさきにも、これほど佐代が黙って私の話に真剣に耳を傾けていたことはなかった。

気付いたら、また私は泣いていた。
ここは図書館だ、って考える理性が僅かながらに残ってはいたけど、
佐代の胸の中で、嗚咽まじりに泣いていた。
打ち明けてしまった後悔と、苦しみを理解してもらえた解放感で、訳もわからず泣き崩れていた。

佐代は何も言わずに、ポンポン…と背中をたたいて、私が泣き止むまでそうしてくれていた。

彼女なりの優しさだった。

「でさ、久瀬」
落ち着いてきたと感じたらしい佐代は、普段どおりのテンションで聞いてきた。
「最後に届いた手紙、見てみない?」

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