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遠い遠い君へ

[256]  くろ  2006-08-13投稿
泊めてもらって、昼食まで戴くのはさすがに気が引けて、
昼前に帰ることにした。

「紅璃ー。別に食べてっても良いのにー。
 遠慮すんなってー。」

「ううん。申し訳ないからさ。」

「まあ、いいやー。
 また来てねー。」

「うん!ばいばーい。」

「ばいばーい。」

そう言って七海の家を出る。
今日は快晴だ。
あ、日焼け止め塗るの忘れた・・・。焼けちゃう・・・。

私はあわててタオルを被り、
近くの化粧品店に急いだ。

化粧品店に
一歩入って、すぐ、血の気が引いた。

佳奈先輩がいる・・・。

幸い、あっちは気付いていないみたいだ。
すぐ引き返し、家の方へ走った。

佳奈先輩から、ずっと、こうやって逃げなきゃならないの?
なんだか、弱い自分が情けない。

ガッシャーン。
自宅の門を乱暴に開け、家に駆け込む。

「おかえりー。楽しかった?」

「あ・・う・・・うん・・・。」

「そう。それは良かった。
 今度は泊まりに来てもらいなさいね。」

「うん・・・。わかった。」
自分の部屋へこもる。
ふちやらなきゃいけないことに気付いた。
晃輝先輩に全てを話す・・・。

(どうしよう。)

メールしちゃえばいいのに。
思い切り甘えちゃえばいいのに。

私の中の私が私を追い立てる。

そんなのわかってる。
でも・・・迷惑かなとか思うと何もできなくなるんだ。

不器用な自分にことごとくイラつく。

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